雇用保険の被保険者の方が、定年、倒産、契約期間の満了等により離職し、失業中の生活を心配しないで、新しい仕事を探し、1日も早く再就職していただくために支給されるものです。
雇用保険の一般被保険者に対する求職者給付の基本手当の所定給付日数(基本手当の支給を受けることができる日数)は、受給資格に係る離職の日における年齢、雇用保険の被保険者であった期間及び離職の理由などによって決定され、90日~360日の間でそれぞれ決められます。
特に倒産・解雇等により再就職の準備をする時間的余裕なく離職を余儀なくされた受給資格者(特定受給資格者といいます。範囲については特定受給資格者の範囲をご覧ください。)及び、特定受給資格者以外の者であって期間の定めのある労働契約が更新されなかったことにより離職した者(特定理由離職者といい、そのうち「特定理由離職者の範囲」の1に該当する方を指します。)(※補足1)については一般の離職者に比べ手厚い給付日数となる場合があります。
※補足1 なお、「特定理由離職者の範囲」の1に該当する方については、受給資格に係る離職の日が平成21年3月31日から令和7年3月31日までの間にある方に限り、所定給付日数が特定受給資格者と同様となります。
(具体的な所定給付日数については、下記枠内をご覧ください。)
ハローワークで行う「職業相談」の中で、再就職をするために公共職業訓練等を受講することが必要であると認められた場合は、安定所長がその訓練の受講を「指示」することがあります。この場合には、訓練期間中に所定給付日数が終了しても、訓練が終了する日まで引き続き基本手当が支給されるほか、訓練受講に要する費用として、「受講手当」、「通所手当」などが支給されます。
なお、訓練の受講指示は、原則として所定給付日数内の支給残日数が一定以上ある時点で行うこととしています。
雇用保険の被保険者が離職して、次の1及び2のいずれにもあてはまるときは一般被保険者については基本手当が支給されます。
ハローワークに来所し、求職の申込みを行い、就職しようとする積極的な意思があり、いつでも就職できる能力があるにもかかわらず、本人やハローワークの努力によっても、職業に就くことができない「失業の状態」にあること。
したがって、次のような状態にあるときは、基本手当を受けることができません。
病気やけがのため、すぐには就職できないとき
妊娠・出産・育児のため、すぐには就職できないとき
定年などで退職して、しばらく休養しようと思っているとき
結婚などにより家事に専念し、すぐに就職することができないとき
注意
船員の方が引き続き船員の求人を希望する場合は地方運輸局で求職の申込みと雇用保険の給付の手続きを行っていただくこととなります。このような場合は以下「ハローワーク」とあるのを「地方運輸局」となりますのでご留意ください。
離職の日以前2年間に、被保険者期間(※補足2)が通算して12か月以上あること。
ただし、特定受給資格者又は特定理由離職者については、離職の日以前1年間に、被保険者期間が通算して6か月以上ある場合でも可。
※補足2 被保険者期間とは、雇用保険の被保険者であった期間のうち、離職日から1か月ごとに区切っていた期間に賃金支払いの基礎となった日数が11日以上又は賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上ある月を1か月と計算します。
雇用保険の受給期間は、原則として、離職した日の翌日から1年間(所定給付日数330日の方は1年と30日、360日の方は1年と60日)ですが、その間に病気、けが、妊娠、出産、育児等の理由により引き続き30日以上働くことができなくなったときは、その働くことのできなくなった日数だけ、受給期間を延長することができます。ただし、延長できる期間は最長で3年間となっています。
なお、所定給付日数330日及び360日の方の延長できる期間は、それぞれ最大限3年-30日及び3年-60日となります。
この措置を受けようとする場合には、上記の理由により引き続き30日以上職業に就くことができなくなった日の翌日以降、早期に申請していただくことが原則ですが、延長後の受給期間の最後の日までの間であれば、申請は可能です。住所又は居所を管轄するハローワークに申請してください。(代理人又は郵送でも結構です。)
※ なお、再就職手当受給後に倒産等により再離職した者については、一定期間受給期間が延長される場合があります。
離職日の翌日以後に事業を開始等した方(事業を開始した方・事業に専念し始めた方・事業の準備に専念し始めた方)が事業を行っている期間等は、下記の要件を満たす場合、最大3年間受給期間に算入しない特例を申請できます。
事業の実施期間が30日以上であること。
「事業を開始した日」「事業に専念し始めた日」「事業の準備に専念し始めた日」のいずれかから起算して30日を経過する日が受給期間の末日以前であること。
当該事業について、就業手当または再就職手当の支給を受けていないこと。
当該事業により自立することができないと認められる事業ではないこと。
※次のいずれかの場合は、に該当します。
・雇用保険被保険者資格を取得する者を雇い入れ、雇用保険適用事業の事業主となること。
・登記事項証明書、開業届の写し、事業許可証等の客観的資料で、事業の開始、事業内容と事業所の実在が確認できること。
離職日の翌日以後に開始した事業であること。
※離職日以前に当該事業を開始し、離職日の翌日以後に当該事業に専念する場合を含みます。
この特例を受けようとする場合は、事業を開始した日・事業に専念し始めた日・事業の準備に専念し始めた日の翌日から2か月以内に住所又は居所を管轄するハローワークに申請する必要があります。(代理人又は郵送でも結構です。)
※ ただし、就業手当または再就職手当を支給申請し、不支給となった場合は、この期間を超えてもこれらの手当の支給申請日を特例の申請日として受給期間の特例を申請できます。
偽りその他不正の行為で基本手当等を受けたり、又は受けようとした場合には、以後これらの基本手当等を受けることができなくなるほか、その返還を命ぜられます。
更に、原則として、返還を命じた不正受給金額とは別に、直接不正の行為により支給を受けた額の2倍に相当する額以下の金額の納付を命ぜられることとなります。
雇用保険で受給できる1日当たりの金額を「基本手当日額」といいます。
この「基本手当日額」は原則として離職した日の直前の6か月に毎月きまって支払われた賃金(つまり、賞与等は除きます。)の合計を180で割って算出した金額(これを「賃金日額」といいます。)のおよそ50~80%(60歳~64歳については45~80%)となっており、賃金の低い方ほど高い率となっています。
基本手当日額は年齢区分ごとにその上限額が定められており、現在は次のとおりとなっています。
(令和6年8月1日現在)
30歳未満 | 7,065円 |
---|---|
30歳以上45歳未満 | 7,845円 |
45歳以上60歳未満 | 8,635円 |
60歳以上65歳未満 | 7,420円 |
技能習得手当とは、受給資格者が積極的に公共職業訓練等を受ける条件を整え、その再就職を促進するため、受給資格者が公共職業安定所長又は地方運輸局長の指示により公共職業訓練等を受講する場合に基本手当とは別に受けられるものです。
技能習得手当には以下のとおり、受講手当と通所手当の二種類があります。
受講手当は、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受ける場合に支給されます。支給の対象となるのは、基本手当の支給の対象となる日のうち公共職業訓練等を受けた日です。
受講手当の日額は500円です。
受講手当の上限額は20,000円です。
通所手当は、受給資格者の住所又は居所から公共職業訓練等を行う施設へ通所するために交通機関、自動車等を利用する場合に支給されます。
通所手当の月額は通所方法によりますが、最高42,500円までです。
支給対象にならない日がある月については日割により減額して支給されます。
技能習得手当の受給資格者は、公共職業安定所長の指示により公共職業訓練等を受けることになったとき、すみやかに、「公共職業訓練等受講届」及び「公共職業訓練等通所届」に受給資格者証を添えて管轄公共職業安定所長に提出します。
技能習得手当の支給を受けるためには、上記の手続きをした上で失業認定の日に公共職業訓練等受講証明書に受給資格者証を添えて管轄公共職業安定所に提出することが必要です。
寄宿手当は、受給資格者が公共職業安定所長の指示した公共職業訓練等を受けるために、家族(その者により生計を維持されている同居の親族※補足3)と別居して寄宿する場合に支給されます。
対象となる期間は公共職業訓練等を受けている期間のうち上記家族と別居して寄宿していた期間です。寄宿手当の月額は10,700円です。
受給資格者が家族と別居して寄宿していない日等、支給対象とならない日がある月については日割により減額して支給されます。
※補足3 婚姻の届出はしていないが事実上その者と婚姻と同様の事情にある者を含みます。
受給資格者は公共職業安定所長の指示により公共職業訓練等を受けることになったとき、すみやかに、「公共職業訓練等受講届」及び「公共職業訓練等通所届」に受給資格者証を添えて管轄公共職業安定所長に提出します。
寄宿手当の支給を受けるためには、上記の手続きをした上で失業認定の日に公共職業訓練等受講証明書に受給資格者証を添えて管轄公共職業安定所に提出することが必要です。
傷病手当とは、受給資格者が離職後、公共職業安定所に来所し、求職の申込みをした後に15日以上引き続いて疾病又は負傷のために職業に就くことができない場合に、その疾病又は負傷のために基本給付の支給を受けることができない日の生活の安定を図るために支給されるものです。
(14日以内の疾病又は負傷の場合には基本手当が支給されます。)
傷病手当の日額は基本手当の日額と同額です。
受給資格者の申出によって、基本手当の受給期間を最大4年間まで延長できます。
受給期間を延長した後、その延長理由と同様の疾病又は負傷を理由として傷病手当の支給を申請したときの支給日数は、その受給期間の延長がないものとした場合における支給できる日数が限度となります。
※ 疾病又は負傷について他の法令により行われる類似の給付を受ける日については支給されません。
職業に就くことができない理由がやんだ後における最初の認定日までに居住地を管轄する公共職業安定所で傷病の認定を受けなければなりません。
なお、傷病手当支給申請書は本人以外の代理人による提出又は郵送によっても差し支えありません。
高年齢被保険者(※補足4)が失業した場合、一般の被保険者の場合と異なり、被保険者であった期間に応じ基本手当日額の30日分又は50日分に相当する高年齢求職者給付が支給されます。
※補足4 高年齢被保険者とは、65歳以上の被保険者であって、短期雇用特例被保険者や日雇労働被保険者とならない方をいいます。
高年齢被保険者が高年齢求職者給付金の支給を受けるには、住居地を管轄する公共職業安定所に来所し、求職の申し込みをしたうえ、高年齢受給資格の決定を受けなければなりません。
この決定において高年齢受給資格が認められるには高年齢被保険者であって以下の要件を満たす場合に限られます。
離職により資格の確認を受けたこと。
労働の意志及び能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にあること。
算定対象期間(原則は離職前1年間)に被保険者期間が通算して6か月以上あること。
※ 被保険者期間の計算方法は一般の被保険者と同様です。
高年齢求職者給付金は失業認定を行った日に支給決定されます。
失業認定は一般の受給資格者の場合とは異なり1回限りです。
支給額は、被保険者であった期間に応じて次の表に定める日数分の基本手当の額(※補足5)に相当する額とされています。
被保険者であった期間 | 高年齢求職者給付金の額 |
---|---|
1年以上 | 50日分 |
1年未満 | 30日分 |
※補足5 基本手当日額は、被保険者期間として計算された離職前の6か月間に支払われた賃金を基礎として計算されます。
特例一時金とは、季節的に雇用されている者等を短期雇用特例被保険者として、一般の被保険者と区別して給付されるものです。このような一時金制度をとっているのは、これらの短期雇用特例被保険者は一定の期間ごとに就職と離職を繰り返すため、一般の被保険者への求職者給付より一時金制度とすることのほうがその生活実態により即しているからです。
短期雇用特例被保険者が特例一時金の支給を受けるには、住居所を管轄する公共職業安定所に来所し求職の申し込みをした上で、特例受給資格の決定を受けなければなりません。
その決定において特例受給資格が認められるには、短期雇用特例被保険者であって以下の要件を満たす者に限られます。
離職により資格の確認を受けたこと。
労働の意思及び能力があるにもかかわらず職業に就くことができない状態にあること。
算定対象期間(原則は離職前1年間)に被保険者期間が通算して6か月以上あること。
※ 被保険者期間の計算は一般の被保険者、又は高年齢被保険者と異なり、一歴月中に賃金の支払いの基礎となった日数が11日以上又は賃金の支払の基礎となった時間数が80時間以上ある月を被保険者期間1か月として計算します。
特例一時金の支給は失業認定を行った日に行われます。
特例一時金の額は特例受給資格者を一般被保険者とみなして計算した基本手当の日額の30日分とされています(ただし、当分の間は暫定措置で40日分となります)。
ただし、失業認定があった日から受給期限日(※補足6)までの日数が30日(ただし当分の間は暫定措置で40日)未満であるときは特例一時金の額はその日数分となります。
※補足6 離職の日の翌日から起算して6か月後の日
雇用保険では、日雇労働被保険者について、一般被保険者とは異なる制度を設け、日雇労働被保険者が失業した場合には、その雇用形態に即した求職者給付を支給することとしています。
日雇労働者とは、日々雇い入れられる者及び30日以内の期間を定めて雇い入れられる者のことをいいます。
日雇労働者のうち、下記の要件のいずれかに該当する者が日雇労働被保険者になります。
適用区域(特別区もしくは公共職業安定所の所在する市町村の区域(厚生労働大臣が指定する区域は除かれます。)または厚生労働大臣が指定する隣接市町村の全部または一部の区域。)内に居住し、適用事業に雇用される者
適用区域外に居住し、適用区域内の適用事業に雇用される者
適用区域外に居住し、適用区域外の適用事業で、日雇労働の労働市場の状況その他の事情に基づき厚生労働大臣が指定したものに雇用される者
上記1~3に該当しない日雇労働者であっても、適用事業に雇用される場合は、その者の住所又は居所を管轄する公共職業安定所長の許可を受けて被保険者となることができます
※ なお、直前2か月の各月に同一事業主に18日以上雇用された場合及び同一事業主に継続して31日以上雇用された場合は、原則として、一般保険者として取り扱われます。
上記要件に該当する日雇労働者は、その要件に該当するに至った日から5日以内に居住地を管轄する公共職業安定所長に届出をしなければなりません。この届出によって公共職業安定所長から日雇労働の実態があるなど日雇労働被保険者であると確認された場合には、日雇労働被保険者手帳が交付されます。
失業した日雇労働被保険者は、失業の日の属する月の前2月において通算して26日分以上の印紙保険料が納付されている場合(※補足7)に、公共職業安定所において失業認定を行った上で、日雇労働求職者給付金が支給されます。
※補足7 日雇労働被保険者は事業主に使用されたときはその都度、雇用保険印紙の貼付を受けるために、所持する日雇労働被保険者手帳を事業主に提出しなければなりません。事業主は、日雇労働被保険者を使用した場合には、その者に賃金を支払う都度、その使用した日数に相当する枚数の雇用保険印紙をその使用した日の被保険者手帳における該当日欄にはり、消印しなければなりません。
給付金の日額は直前2か月の手帳に貼付された雇用保険印紙の枚数等により定められています
その月に支給できる日数の上限は、直前2か月の手帳に貼付された雇用保険印紙の枚数により13日から17日までの範囲で定められています。
《ご質問等につきましては、お手数ですが、最寄りのハローワークまでお願いいたします。》